保険診療と自由診療の違い
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保険診療で
理想的な治療は難しい
日本の保険診療制度は、手の届きやすい料金で誰もが医療を受けられる素晴らしいシステムですが、その反面、提供できる治療内容に制限があります。特に、歯科においては、保険診療で認められた内容では理想的な治療を行うのが難しいのが事実です。
歯科の自由診療というと、被せ物や入れ歯などの材料の違いのみに注目されがちですが、保険診療と自由診療の最大の違いは、治療の「質と内容」にあります。
保険診療の場合、「治療時間」や「丁寧・精密さ」、「技術力」への対価は存在しないため、10分で治療をしても60分かけて治療をしても、治療費は変わりません。
したがって、短時間でたくさんの人数を治療した方が医院収入になります。請求できる金額は決まっていますから、できるだけ安価な材料を使おうとする医院が多いでしょう。スタッフにおまかせの医院も中にはあるかもしれません。
痛みを止めるなど、必要最低限な治療は保険診療でも受けられます。しかし、短時間に不適切な治療をした歯はまた悪くなるため再度治療が必要になり、またしても歯科医院にとっては収入となります。
こうした不適切な治療を繰り返した末、治療困難となり抜歯に至り、失ってしまった歯に対しブリッジやインプラントといった治療を行う方が医院収入になります。
「安い、早い、うまい」という牛丼屋さんのようで、かつ神の手を持つ先生がいれば保険診療でもよいかもしれませんが、短時間に質の高い治療を行うのは事実上不可能です。
そのような事は、何軒も歯科医院に通われてお困りの方は既にお気付きかと思います。
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歴史的背景からみる
保険診療
1961年、全国の市町村で国民健康保険事業が始まり、「誰でも」「どこでも」「いつでも」保険診療を受けられる体制が確立しました。
当時の国内は、貧困の原因の多くは病気やケガによるものでした。病気になっても医療を受けるお金がないために病気が長引き、仕事ができず、貧困に陥るという悪循環が繰り返されていたために考えられた制度です。
ちなみに「国民皆保険」は「国民皆兵」をもじってできた言葉だそうです。
繰り返しますが、公的な保険診療は「病気のために働けなくて貧困になる」ことへの対策、貧困が病気を生み、病気が貧困を生むという悪循環を断つために生まれた社会の仕組みなのです。
決して、「安くて良質な治療」が保証された制度ではありません。
歯科において、保険治療の内容・コンセプトはこの50年以上の間、国民健康制度の開始の時点からほぼ何も変わっていません。病気になった歯が体に良くないことは証明されていますが、歯が無くなっても働けなくなるということはないと、この制度では考えられているのです。
「国民皆保険制度」は、みんなでお金を出し合ってケガや病気の治療を助け合う仕組みであり、様々な制限があるとしても本当に有難いものです。この制度が破綻しないように私たちが正しく利用する必要があると思います。
理解していただきたいのは、保険で可能な治療だけで、歯科医・患者がお互いに満足出来る治療が出来るとはいえないのが現状だということです。
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どんな治療にも
全力を尽くします
実は、保険治療で歯科医院に入ってくる収入は決して十分とはいえません。短時間でたくさんの人数を治療する歯科医院が多いのはそこにも理由があります。経営が成り立たなければ医院が存続できなくなり、患者さんに治療を提供することもできなくなりますので、歯科医院として方法は2つしかありません。
- 保険で許容される材料のみを使い、治療の質を落とし短時間治療をする (保険治療)
- 材料などの制約なしに、必要十分な時間を使って精度の高い治療を提供する (自由診療)
お口の中の病気は、いわゆる生活の質(QOL=クオリティ・オブ・ライフ)の医療なので、治療の必要性を決めるのも、治療のゴールを決めるのも患者さんです。
患者さんそれぞれに価値観の違いがありますので、当院では、保険診療・自由診療のメリットやデメリットを丁寧に説明したうえで選んでいただけるようにしております。選んでいただいた治療をその範囲内で可能な限り全力を尽くして行います。
特に、自由診療の必要性が高いと考えられる場合には、その理由を分かりやすく説明し、患者さんにお選び頂けるようにしております。また、費用の面でもご相談に応じておりますので、お気軽にご相談ください。
こうしたことを気軽に相談できるよう、当院では患者さまとの「信頼関係」を最も重要と考え、信頼関係を築けるようなコミュニケーションにスタッフ一同努めております。