一般歯科 (虫歯の治療)

Treatment of tooth decay 1

鏡で口の中を見てみると、黒い部分を発見!
「ついに、虫歯になってしまった…」
という経験はありませんか?
しかし、それは、虫歯ではないかもしれません。歯は、凹んだ部分に食べ物が詰まっているだけでも茶色く見えたりします。
虫歯の判断というのは意外に難しいのです。

一方で、「虫歯」というものは、早い段階で正しい初期治療をすることで、その後の進行が大きく変わってきます。初期段階で適切な予防処置を続けると、エナメル質が再石灰化して虫歯の進行を停止させ、歯を削る治療を行わなくてよい場合もあります。
初期段階の虫歯が発見されたら、まずはプラーク(歯垢)など虫歯の原因となる歯の汚れを除去します。さらに必要であれば最小限の治療を行う、というのが歯科治療の基本となります。

それでは、どうやって初期虫歯を見つけるのでしょうか?
肉眼で見える範囲には限界があります。
人が肉眼で識別できる最小サイズは0.1mm~0.2mmと言われています。マイクロスコープを使用した治療は、「肉眼では見えないものが見えるようになる」ことに尽きます。
肉眼では虫歯に見えなくても、知らず知らずのうちに、虫歯菌が忍び寄っている歯が沢山あるのです。
そのために用いられるのが顕微鏡です。
顕微鏡は、肉眼の約20倍まで拡大出来るため、患部を正確に観察出来ます。
肉眼で見ると治療不要な歯でも、顕微鏡を使って見ると、肉眼では見落としがちな歯と歯の間の虫歯や、かぶせものや詰め物との隙間などにある虫歯を発見することができ、適切な初期治療に結びつけることが出来るのです。

初期の虫歯であれば一回の治療で終わることもあります。
現在では、小さい虫歯の治療として、CR修復(コンポジットレジン修復;主にプラスチックで詰める)という治療法が主流となっています。
歯型を採取して金属の詰め物をする治療とは異なり、小さな修復であれば、色調・接着力などの面でも非常に良い結果の仕上がりを期待できます。
また、CR修復は知覚過敏症のある歯の治療にも有効です。

初期虫歯を発見することができないまま、適切なブラッシングや歯垢の除去などをせずに放置しておくと、虫歯を作る菌が酸を産生し、その酸によって歯の表面を覆っている硬いエナメル質を溶かして穴が開いてしまいます。
こうなってしまうと虫歯はどんどんひどくなり、進行していきます。肉眼で見える虫歯は、既にかなり大きくなってしまっている可能性が高いといえます。

Treatment of tooth decay 2

学校健診で虫歯がないと言われたのに、かかりつけの歯科医に虫歯があると言われた経験はありませんか?これは、初期の虫歯は、肉眼で見極めることは、ほぼ不可能と言ってよいからなのです。
学校健診の短時間で、しかも肉眼で口の中を隅々まで診るのは極めて困難なことから、このようなことが起きるのです。(かかりつけ医が顕微鏡で口腔内を診るようならば、このようなことは尚更起きてくるでしょう。)

そして、暗くて狭い口の中で、かつ肉眼で歯と歯の間を削る行為は、診察以上に容易なことではありません。誤って健康な歯を傷つけたり、必要以上に削りすぎたりすることも多くありました。誤って削ってしまった健全な歯から、新たな虫歯が発生することも実際にあるのです。それでは、歯科医が新たな虫歯を作っているようなものですが…

「歯を削る」という行為は、実は歯科の治療の中で最も難しいものです。
これまで歯科医は、肉眼で口の中を覗き込み、歯を削ってきました。しかし、これは盲目の世界で削ってきたようなものなのです。
歯と歯の間や、虫歯と健康な歯との境界線。
これを確実に見極めて、必要最小限に削る。それこそ正しい歯の削り方です!!
これは、現代では顕微鏡を使用した世界でしかなし得ることは出来ません。
私自身、歯科医になりたての頃は、肉眼診療でしたからよく分かります。
肉眼という、歯科では盲目に等しい世界から、顕微鏡というクリアな世界で必要最小限に歯を削る。
これが、歯科顕微鏡を用いた最先端の虫歯治療なのです。